top of page

非日常体験の先にある日常

  • 西村
  • 2022年8月9日
  • 読了時間: 2分

更新日:2023年10月19日

 

 ブライアン・イーノが提唱した音楽の様式であるアンビエント音楽とは、静けさ、均等さ、驚かせる部分のなさ、バラエティのなさで構成され、生活の雰囲気(アンビエント)として、連続性があり環境に馴染む音楽として発明されたものだ。今回の展示は、音と光が途絶えることなくシームレスに変化し続けるものだ。展示で見ることができる色やヴィジュアルの組み合わせは、ほとんど同じ瞬間がないため、その一瞬一瞬が特別で、貴重な体験をすることができるのだ。

 展示空間で目にするブライアン・イーノの言葉、「ありきたりな日常を手放し、別の世界に身を委ねることで、自分の想像力を自由に発揮することができるのです。」まさにその通りの展示内容である。扉を開けた瞬間から始まる夢空間は、必ず外の日常とは切り離されている。京都中央信用金庫のユニークベニューとしてのあり方に加え、ブライアン・イーノの作品性にも夢空間が存在していると感じる。

 今までアンビエント音楽に触れる機会がなかったと感じていたが、どこか既視感がある心地よい耳心地は、実は自分の身近に存在してきた、存在し続けるものではないかと感じさせる。そのような、多くの鑑賞者に与えられる心地よさという感覚は、「ジェネレーティヴ・ミュージック」の最大の魅力である。展示で音と光の変化に集中することによって、私たちが生きる日常のなかに存在する「アンビエント」を見つけ、環境に耳を向ける新たな感覚を知った。じっくりと自分自身と向き合う時間は、アンビエント音楽が存在する空間に身を置くことで獲得でき、根底にあるテーマに沿った空間芸術だと感じた。

77 Million Paintings

(文/西村紬)




  • Twitter
  • Instagram

​御草怱

​自然を知ることをきっかけとしたwebメディア

bottom of page