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琵琶湖への視線「此処から見る琵琶湖、向こうから見た琵琶湖」 前編

  • 丸橋
  • 2023年12月20日
  • 読了時間: 5分

更新日:2024年1月7日



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我々が普段生活している水というのは一体とどこから来ているのか?生活にどれだけ水が関わっているのか?元来自然は人の生活の近くにあったはず。しかしそれはだんだんと失われていたり、見えにくく、意識されにくくなっていたりしている。関⻄、特に京都、大阪に住む人にとっては身近な琵琶湖から、改めて水を感じていく。


滋賀県の草津市にある琵琶湖博物館。雄大な琵琶湖のほとりに佇む博物館だが、そこでは様々な琵琶湖にまつわる展示がある。琵琶湖のおいたちから、今の琵琶湖の状況まで。水族展示室も含めて、触ったり体験できる展示がたくさんある。 ふらっと行ってすごく楽しめる博物館である琵琶湖博物館、ぜひチェックしてみてほしい。https://www.biwahaku.jp





 


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そして今回はその琵琶湖博物館の楊 平学芸員にお話を聞いた。


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我々は前回琵琶湖疏水記念館に訪れることで、京都の疎水や水に関して、琵琶湖というのがなくてはならないものだ。ということを再実感した。だが私たちは自分達のいる場所 (京都や大阪)から見た琵琶湖や水についてしか知らないのではないだろうか?琵琶湖から水が来ていることも知っているし、人によっては夏場泳ぎに行ったり、釣りに行ったりもするであろう。琵琶湖。ではそもそも琵琶湖とはどんな湖なんだろうか。




そもそも琵琶湖とは?


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滋賀県にある古代湖(100万年以上前から存在している湖、世界を見ても20ほどしか ない)で、その歴史は400万年以上前から続いている。その歴史、大きさは見聞きした ことがある人も多いと思うし、琵琶湖からきた水に頼って生活している人も多いだろう。 ちなみに水の量はおよそ 275 億トンあり、淀川流域の人が十一年で使う分に相当する。


他にも、琵琶湖は交通に利用されたり、近年になって水車を用いて農業や灌漑に利用したりと。人の生活に役立つと同時に、たびたび大きな水害をもたらすこともあった。


そして琵琶湖のもう一つ、大きな特徴はその生物の多様性にある。琵琶湖は古代湖として昔から存在することもあり、特殊な生態系を築き、六十種も琵琶湖特有の固有種が存在する。

琵琶湖は古代から恵みと災いをもたらしてきたが、私たちはそこを殊更意識してこなかった。じゃあ滋賀から見た琵琶湖とは?それを知ることで、私たちが意識していない琵琶湖、水と人との関わりが見えてくるのではないだろうか。



琵琶湖は下流?!


楊平学芸員:京都と琵琶湖の関わりというのはやはり広くて、その様々なところがある中で、どこをどういった目線で見ていくのか。ということによって内容は違ってきますし。どのような立場かによって見え方も変わります。 ただまず、京都あるいは大阪は琵琶湖に繋ぐ流域の下流なんですね。



── 下流、というイメージはあまりなかったです。



楊平学芸員:流域からすると琵琶湖と京都大阪っていうのは、上流と下流の位置関係にはなるんです。

それはなぜかというと、滋賀の水が流れ出て行くというのもあるんですが、雨が降ると各河川から水と共に他のものが流れてくることもあります。琵琶湖から流れ出る川っていうのは一本しかないのでそこに流れて行ってしまうんですね。


楊平学芸員:それに琵琶湖から水が流せないってことが、時と場合によってはあるんです。 例えば今琵琶湖に住んでいる魚たちは植物に卵を付着させて産卵するというようなスタイルっていうのが多いので、あまり水を流しすぎると水位が下がって植物に付着させた卵が死んでしまったりするんです。それで生態系だけでなく漁業においても影響が出てきたりすることもあるんですよ


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── 琵琶湖というのは無尽蔵に水を流してくれている。と思っていたので、そういった難しさがあることに驚きました。それに下水というイメージはなくても、確かに琵琶湖の水よりも、京都、大阪の水の方が汚いと思ってるところはあります。



楊平学芸員:他の問題としては、外来種ですね。釣りをする方が琵琶湖にも結構いらっしゃっていて、その中で外来種がつれてしまう。でも他の川や湖もそうですがそれに対策していかなければいけない。そこで漁業政策の一つに、大津市の湖岸域に木の箱っていうのも必ず置いているんです。 例えば、ブラックバスは繁殖が早くて、あっという間に増えていってしまうんですけど、もし釣れてしまったら湖に戻すのではなく、箱の中に入れる。というような政策を設けたりすることで対策しています。ゴミ問題もそうですが、釣りとかの身近なとこでも様々なことが起こっています。



琵琶湖と水、その問題


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── 水と街の関係みたいなのもお聞きしたいと思っていて。例えば京都だったら鴨川が目の前にあって、人が集まったりするってイメージがあって。それが滋賀だったら琵琶湖だったりすると思うんですけど。土地の作り方と琵琶湖、他にもヒーリング効果であったりとか、そういった影響っていうのは感じられるところはありますか。



楊平学芸員:まず個人的に、水の近いところは結構好きです。海とか汽水域とか、淡水の川が流れる場所というよりは、どちらかといえば山とか、渓流とか、ああいう感じの、静かな水の近くが好きなんです。


ただ少し話は変わっちゃうかもしれませんが、私は伏見区辺りの鴨川の一部しか見ていないんですけど、鴨川は私としては少し入りづらい川なんですね、降りる場所も少なくて岸の高い。ただこれは滋賀県も同じような問題が出ていて、河川整備でコンクリート化していくんですが、子供たちが川に入りづらくなるんです。仮に入れても、出づらいんですね。川をコンクリート化するっていうのは洪水を防ぐっていうそれも大事な一つの役割なんですけど、ほんとに全部そこをしなきゃいけないのか?っていうことを考えると、そうじゃないかなっていう。



── 川と水の関係性が変わってきて、より遠くなっていってしまっているんですね。



楊平学芸員:洪水が防げてなおかつ使いやすい。魚とかのすみかとしても、人間にも入りやすく遊びやすい川。っていうことや、様々なことをこれからの川や周囲の環境を作るときに、考えなきゃいけない時代になっていると思います。



琵琶湖博物館ホームページ

(interview/⻄村・丸橋 文、写真/丸橋)

 

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